この事例の依頼主
40代 女性
相談前の状況
本件は、相手方配偶者と別居後5年以上が経過した後に相談にいらしたケースでした。別居当初から相手方配偶者と全く連絡が取れず、どこで何をしているのかもほとんど分からないような状況で5年以上が経過していました。長年別居が継続し、かつ音信不通であり、その間婚姻費用等経済的な負担が一切ないことから、離婚を希望されていました。ただ、相手方が生存していることは分かっているものの、相手方家族経由でも全く連絡がつかない状況のため、離婚するにはどうしたらよいか聞きたいとのことでご相談にお越しいただきました。依頼者様としては、当初より相手方と連絡が取れず、自身で離婚協議等を進めることは難しいと考えておられましたので、ご相談後ご依頼いただくこととなりました。
解決への流れ
相手方の居住地が不明確でしたので、まずは相手方の所在調査を実施しました。所在特定後に内容証明(その後特定記録)にて受任通知を送付し、速やかに離婚調停の申立を行いました。
本件は、受任した時点で既に別居が始まってから長期間経過していましたので、仮に裁判になったとしても離婚が認められる可能性が高いケースでした。ただ、相手方とは長年音信不通で相手方の所在が不明確でしたので、まずは相手方の所在を明確にする必要がありました。所在調査を行い、公的な記録上の住所を確認することができました。当該住所に状況の説明等を記載した受任通知を発送しましたが、受領されませんでした。そのため、特定記録により通知を再送し、あわせて離婚調停の申立を行いました。内容証明を受領しなかったため、調停に相手方が出頭せず、訴訟になる可能性が高いと考えていましたが、相手方が当日に出頭してくれました。そのため、離婚や財産分与等について協議を行うことができ、相手方も離婚等に同意したため、当日無事に離婚が成立しました。ご依頼者様も訴訟を想定していたので、想定外に早期離婚が成立し、喜んでくださいました。また、調停は原則として相手方居住地を管轄する裁判所申立をする必要がありますが、今回は相手方が遠方に居住していたため、遠方の家庭裁判所に調停の申立を行わざるを得ませんでした。遠方の裁判所に行くには前泊を伴うなど、金銭的・時間的にも負担が大きいため、裁判所と事前調整を行い、調停当日は現地に行くのではなく、オンラインにより参加しました。以前は、当日に裁判所に出頭する必要がありましたが、近年は裁判所においてもIT化が進んでいるため、遠方の場合には、出頭ではなくオンラインによる手続参加も多くなっている印象です。