この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
撮影業務を営む会社の代表者の方から、売り上げが減少し、銀行の借入金や税金の支払いができなくなったため、会社を閉めたいとの相談を受けました。会社資産に比べ負債が倍額あり、また、代表者として連帯保証債務を負っていましたので、法人及び代表者個人ともに破産することを助言させて頂き、その方針で進めることになりました。もっとも、その方の希望としては、下請け業者への未払い代金を完済させたいとの意向でした。事情を訊くと、同じ事業を営む知り合いの会社に雇ってもらう予定だが、狭い業界なのでどうしても業者間で現場が重なり、今後の活動のためには未払いのままにはできない、転職で別の職種に付いても収入が大きく下がり、果たして家族を養えるかを心配しておられました。破産する場合、債権者の一部のみに返済することは偏波弁済として禁じられており、法人の資産から返済することはできません。そこで、法人以外からの支払いを検討したところ、親族が協力してくれることになり、下請業者に対する負債を完済させて破産申立てを行いました。
解決への流れ
管財人による調査を踏まえ、無事清算が終わりました。依頼者の方も予定通り知り合いの会社に就職し、別の業種で一から働くことなく、これまでと同じ業務で安定収入を得ることができ、喜んでおられました。
法人や事業者が破産すると、取引先との関係上、同じ業界で働くことは通常困難ですが、この依頼者の方のように、特殊な技能を持ってこれまで仕事をされてきた場合、転職して別の業種に移ってしまっては、長年積み上げてきた技能や人脈が台無しとなります。破産で単に清算して終わりとするのではなく、先の将来のことも考慮のうえ、方針を決めることが重要です。