この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談者様(50代男性)は、隣接する土地の所有者から「境界が不明確で、あなたの土地がこちらに越境している可能性がある」との主張を受け、トラブルに直面していました。隣人は境界の明確化を求めており、これを巡る協議は感情的な対立に発展していました。相談者様は、登記簿や公図を確認したものの、境界を確定するための資料が不十分であることに気づきました。また、隣人との協議だけでは解決が難しいと判断し、法的な対応や筆界特定制度を含む解決方法について弁護士に相談されました。
当職は、相談者様の状況を的確に把握した上で、次のような対応を行いました:1. 境界トラブルの状況分析と解決方針の策定当職は土地家屋調査士と連携し、現地調査を実施。過去の測量データや登記記録、公図を精査し、境界に関する法的根拠を整理しました。さらに、隣人とのトラブルが「公法上の境界(筆界)」か「所有権界」に関するものかを判別し、適切な対応方針を策定しました。2. 筆界特定制度の利用による合意形成相談者様と隣人の間で協議が進まない場合を見越し、当職は筆界特定制度を利用する準備を整えました。この制度に基づき、法務局に申請を行い、登記官による境界の位置特定を依頼しました。筆界特定の結果を基に、隣人に対して具体的な境界位置を示し、さらなるトラブルの回避を図りました。3. 境界確認書の作成と合意の成立筆界特定による結果を踏まえ、当職が隣人との協議を主導。隣人の主張を適切に整理し、測量結果や法務局の判断をもとに説得した結果、隣人は境界位置について合意しました。この合意内容を反映した境界確認書を作成し、両者が署名捺印することで正式に合意が成立しました。4. 境界標の設置と地積更正登記合意内容に基づき、境界標を設置して物理的な境界を明確化しました。また、測量結果を反映させた地積更正登記を法務局に申請し、登記記録を更新することで、境界に関するトラブルの再発を防ぎました。
土地境界トラブルは、感情的な対立だけでなく、法的手続や登記実務を伴う複雑な問題です。本件では、筆界特定制度を活用し、隣人との協議を冷静に進めることで円満解決を実現しました。境界確認書の作成や境界標の設置は、トラブルの再発防止に極めて有効です。早期のご相談によって、不要な争いや費用を回避することが可能ですので、同様のお悩みをお持ちの方はぜひご相談ください。