この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
遺言無効訴訟のケースを扱うことがあります。特に自筆遺言の場合、遺言者の筆跡と遺言能力がしばしば争われる問題です。高齢化社会においては、遺言者の認知障害の程度により、遺言の無効が主張されるケースが増えています。
解決への流れ
一つのケースでは、遺産が1億近い被相続人の自筆遺言の筆跡と遺言能力が争われました。高裁において、筆跡鑑定の結果が自筆遺言であることを確認し、遺言能力も認められる判決が下されました。遺言者の遺言能力を争う際には、長谷川式簡易検査などの意思能力検査が行われることもありますが、的確な検査が行われないこともあります。別のケースでは、公正証書遺言の無効性について異なる視点がありました。遺言者の公正証書遺言の立会人が遺言者の四親等内の親族であったため、公正証書遺言が無効である主張がされました。しかし、遺言者が遺贈相手に遺言書を手渡しており、その内容が遺贈であることが確認されたため、遺贈としての有効性が認められました。
遺言無効訴訟においては、遺言者の意思を明確にすることが重要です。遺言者の認知状態や意志表示が遺言書に反映されることが求められます。私が担当したケースでは、要介護認定の際の医師の意見書やケースワーカーの報告書などを活用し、遺言能力の有無を明確に立証することができました。公正証書遺言の場合も、その作成過程や内容が遺贈の意志を示すことが大切です。このケースでは、公正証書遺言が無効とされる可能性も考えられましたが、遺言者の遺贈意志が確認されたために有効性が認められました。遺言の有効性を争う際には、慎重な証拠収集と法的知識の適用が求められます。