この事例の依頼主
30代 女性
相談前の状況
Aさんは大学進学の際、奨学金を利用しました。その後、勤務先で知り合った男性と結婚し、2人の子供をもうけ子育てのため仕事をパートに変えました。ところが、数年後に子育てをめぐって、夫からの暴言などに悩まされ、離婚を決意しました。しかし、パート勤務ゆえ貯金もなく、別居に際しての費用としてカード会社数社からキャッシングしました。夫とは離婚したものの、夫からの養育費もたまにしか支払われず、生活にゆとりもなく、再度、カード会社から借入をしてしまいました。こうしたなか、進学に利用した奨学金の支払いを滞ってしまい、督促がくるようになり、毎月の返済もままならず、困ってしまい、弁護士に相談することにしました。
解決への流れ
Aさんが借金を抱えてしまった原因は、夫の別居に伴う出費や離婚後の生活をするための借入であること、さらに進学のための奨学金の返済といずれも、やむを得ない事情があることから、免責(借金の支払義務をなくす)不許可の理由はないと判断し、法テラスを利用して破産手続をすることにしました。その後、借金を抱えてしまった原因などを詳細に裁判所に報告し、無事、免責決定を受けました。
借金を抱える原因が生活苦などやむを得ない場合には、破産手続は簡易な手続で行うことができます。しかし、債権者の借金を支払わなくて良いという効果を得るためには、どうして生活苦になってしまったのかという具体的事情や自らの預貯金通帳、家計の状況を裁判所に報告する必要があります。弁護士1人では手続はできませんので、破産手続を選択しようとする場合には、弁護士の指示に従った適切な行動を採ることが必要です。