犯罪・刑事事件の解決事例
#建物明け渡し・立ち退き

過去に所有不動産の無断使用を認めた親族に対して,使用貸借契約の終了を理由とする明け渡し請求を行ったケース

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我妻 耕平 弁護士が解決
所属事務所虎ノ門法律経済事務所川崎支店
所在地神奈川県 川崎市幸区

この事例の依頼主

男性

相談前の状況

相談内容①親族に自身が所有しているマンションの部屋を無償で使わせているが,あまりに態度が横柄であり,他の親族に対する態度も酷い(金銭トラブルもある)。②出て行ってもらいたいが,「ただで使わせてくれると言ったので,前の住居も引き払って引っ越してきた。退去には応じられないし,どうしても出て行ってほしければ立退料を支払って欲しい」との一点張りで,全く請求に応じようとしない。どうすれば良いか。

解決への流れ

①受任後,契約の経緯や,使用期間,相手方の言動等の信頼関係の破壊を基礎づける事情などの調査を行う。②当方の主張及び十分な証拠が入手できた時点で,請求(使用貸借契約の終了に基づく部屋の明け渡し及び使用期間に対応する損害金の支払い)及び受任の旨を記載した書面を内容証明にして速やかに相手方に対して送付。相手にもすぐに代理人がついたが,入念な調査と立論が奏功して,請求の大半を認めてもらう形で和解決着。

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我妻 耕平 弁護士からのコメント

親族に対して無償で不動産を使わせていた方からのご相談でした。信頼関係が破壊されたり,使用が長期間に及んだために返還を求めたところ,これを拒否されるというケースは良くあります。この場合,親族の方との間には,賃貸借契約ならぬ「使用貸借契約」,要はただで目的物を使用することを認める契約が成立していると考えられます。しかし,この契約は賃料を支払わなくても良い分借主の保護が弱く,借りた目的を達成した場合や,そうでなくても「目的を実現するに足りる相当な期間の経過」をもって契約を終了させることができます。本件の場合,使用期間は15年以上に及び,また経済的に困窮していて新居を探すのが困難という事情もなく,また当該親族が起こすトラブルのために,貸主との信頼関係が完全に破壊されているという事情があり,証拠類も依頼者の尽力により十分なものが入手できたことから,おそらく裁判になっても勝訴に持って行けるだろうと判断できる事案でした。交渉での解決ができたのは,訴訟になった場合でも戦っていけるだけの入念な調査と証拠収集のお蔭で,改めて弁護士としての初動の重要性を感じた事案です。