この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
(相談内容)妻は専業主婦で,結婚14年。これまで金銭の管理は任せていたが,日々の浪費により殆ど貯金がたまっていないことに加え,最近自分名義で勝手借金を重ねていたことが発覚(利息込みで300万円近く)。到底我慢できず,離婚を申し出るも拒否された。家は賃貸(連帯保証人は自分の父親)。子供は12歳。要望事項としては①妻との早期離婚②子供の親権の獲得③妻に対する損害賠償請求④財産分与の放棄
解決への流れ
まずは離婚のための下準備として,依頼者に相手方の実家に連絡をしてもらい,一時相手方を実家に引き取って貰いました。この時子供が母親と相手方実家に戻ることを拒否(学校等もある上,父親の方に懐いていた)したため,依頼者の実家にも協力を求め,落ち着くまでの間,住み込みで子供の面倒を見てもらう事にしました。その後,正式に相手方に受任通知を送付し,離婚についての話合いを開始しました。当事者同士だけで話合いをするのではなく,依頼者,相手方の双方の両親にも意見を求め,最終的に相手方を説得する形で,①協議離婚を成立させる ②子供の親権は依頼者③財産分与については依頼者に求めない代わりに,依頼者から相手方に対して損害賠償の請求も行わない。④面会交流については子供の意向を尊重し,特に制限しない。
不貞や暴行等の明確な法定離婚事由が無いにも拘らず,交渉のみで離婚を成立させ,夫側が親権を獲得し,さらに財産分与の請求も放棄させたという稀有な事件です。初動として相手方の両親に相手方を連れ帰っていただいたこと,子供が母親と一緒に相手方実家に帰ることを拒否したこと,さらに相手方両親が当方に対して同情的で,当方に協力して相手方の説得に尽力してくれたことが成功の理由です。仮に相手方が実家に戻ることを拒否して家に居座られた場合には,反対に依頼者が出ていくことになり,離婚に際して居住関係の精算で揉めることになりますし,また子供を相手方の手元に置かれた場合には親権が相手方に認められる可能性が高く,養育費の問題も発生してしまい,多くの離婚事件のように泥沼化する危険性もありました。