犯罪・刑事事件の解決事例
#自己破産

(その2)ギャンブル、浪費、無謀な貸付、全部やりました。厳しい自己破産手続き。散々あがいた挙句、ようやくたどり着いた免責【事務所法人案件】

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小澤 和彦 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人後藤東京多摩本川越法律事務所練馬事務所
所在地東京都 練馬区

この事例の依頼主

女性

相談前の状況

前回までの流れいわゆるダメ男と付き合い、ギャンブル、浪費そして、そのダメ男そのものに貸付をしてしまった女性。交際当初は、ダメ男ではなかったのかもしれないが、女性も彼も、勤務先の会社が業績が右肩上がりのイケイケ企業だったので、その勢いにつられて、金遣いがあらくなってしまったというもの。しかし、そのようなイケイケ状態がずっと続くこともなく、会社はとある理由から業務停止になってしまい、当然、社員はリストラされることになった。もちろん、女性も彼も例外ではなく、リストラになるが、金遣いが荒かった当時にできたキャッシングやショッピングの借金の支払が重くのしかかる。それでも、女性は彼を応援するために、なんと自らが借り入れをして彼に貸し付けるということまでしてしまった。ところが、いつまでも金を返してくれないので、催促しているうちに音信不通状態になる。聞いていた勤務先も、実は、その会社には在籍していなかったということが判明。ダメ男はとんずらこいて、貸した金の回収もほぼ難しい状況。しかも、自分の借金の返済も難しい状況。窮地に追い込まれた女性は弁護士に相談することになる。最初に相談した弁護士からは、ギャンブル、浪費があるから、破産をするにも免責が認められないので、任意整理をしろと迫られる。また、男に貸した金の回収も聞いてみたが、探偵ではないので、居場所も分からない人間から金を回収するのは困難なので、任意整理をしてから、その件はゆっくり考えたらよいと言われる。しかし、任意整理というのは、今ある借金の額は減らずに、その1回あたりの返済額を伸ばすだけの手続きで、女性はその返済すら難しいという状況。こちらの弁護士とやりとりしていても埒があかないと考え、その弁護士に依頼することは断念。今度は、弁護士ではなく、司法書士に相談に行った。司法書士は、最初の弁護士と異なり、押しつけがましいところはなく、スタッフの方も優しかった。そして、任意整理では支払いができないというと、自己破産を選択するのがよいと言われて、自己破産を申し立てる。しかし、自己破産手続きには、破産管財人がつけられる管財手続きと、管財人がつけられない同時廃止手続きというものがあるが、ギャンブルや浪費がある場合には、通常、破産管財人が付される破産管財手続きに回される。破産管財手続きに回されると、時間もかかるが、費用も余計にかかる。破産管財人の報酬は、破産を申し立てる者が支払わなければならないとされているからだ。ところが、司法書士は、そのことを知ってか知らないでか、この女性については、破産管財人が付されない前提で破産の申し立てをしてしまった。当然、裁判所からは、破産管財手続きになるので、破産管財人の報酬も支払うようにと命じられる。しかし、破産管財人の報酬は、司法書士に依頼した申し立ての場合には、弁護士に依頼した場合と比べて高額であり、しかも、原則として、一括で支払わなければならないため、到底、女性は準備することができずに、せっかく申し立てた破産手続きを取り下げることとなってしまった。そのようなドタバタがあり、司法書士に継続して依頼する気が失せた女性は、これで最後と、さらに別の弁護士を探した。そして、これまでの経緯や今後どうなるのか?そして、どうすればよいかを弁護士に相談している。

解決への流れ

弁護士さんからは、「ただ、あなたの場合には、元カレに貸した金の回収可能性があるかもしれないので、いずれにせよ管財費用は必要になると思います。ただ、司法書士よりは管財費用は安くなります。」と言われました。「えっ?管財費用は弁護士も司法書士も同じではないのですか?」と聞いたところ、「弁護士が代理人としてついてるのと司法書士が書面だけのサポートをするのでは破産管財人の手間が違うのです。」と言われて、じゃあ、弁護士に頼んだ方が得ってことですか?」と思わず言ってしまいましたが、「まあ、得っていうか、そうですね。」「その辺はね、弁護士もちゃんと皆さんに本当は周知しないといけないんですよ。」と苦笑いしていました。「それで、この元カレ貸金の件だけど、おそらく、回収できる可能性は低いと思うけど、何もしないで、管財人に『あとは、よろしく!』って言うわけにはいかないので、やれるところまではやりますね。」と言って、もともとの彼の住所から、住民票を取得してもらったところ、なぜか、関西の方に住民票が移されているとのことでした。彼からは実家は東北だと聞いていたのに、なんのゆかりがあって関西なんかに住所を移したのかが検討もつきませんでした。そして、そこに何度も郵便物を送ったり、弁護士事務所から元カレの電話番号に電話してみてもらったりしましたが、やはり、連絡がつくことはありませんでした。すると、弁護士さんは、私が、彼の実家が東北にあるということを聞いて、なんと、彼の両親の住所、正確には、もう母親しか生きていないので、彼の母親の住所まで調べて、そこに彼の連絡先を尋ねる文書を出してくれました。そうしましたら、ついにアイツから連絡がありました。電話で。「何の用?」ひどい言い方でした。私は、ずっとずっと連絡がなくて、借金の返済にも窮して困っていたことを伝えると、衝撃の反応がありました。「知らねえよ。自分の借金だから自分で始末つけるの当たり前だろ。」「弁護士なんか使って何がしてえんだよ。」「どうせ、弁護士にそそのかされてんだろ!」「その弁護士が報酬欲しさにあおっているだけだぞ!」もう、頭に来るのを通り越して吐き気がしましたが、弁護士さんに連絡したら、「分かった。すぐ連絡してみる。」と連絡してみてくれました。「何なのアイツ!あんな奴とよく付き合っていたね。」やはり、弁護士さんにも同じ対応・回答だったとのことで、私が虚偽を言っている、証拠があるのか、等々の開き直りだったとのことです。たしかに、証拠はないのですが、悔しくて、悔しくてたまりませんでした。弁護士さん曰く、「裁判起こすということもできるけど、やはり証拠がないと相手を追求しきれず費用倒れになる可能性が高いです。」と言われてしまいました。そして、こうも言われました。「感情的に許せないのはよく分かりますが、仮に彼から貸した金が返ってきても借金は400万から250万円に減るだけです。」「そして、自己破産というのは、借金が400万円でも800万円でも、免責がおりれば最後はみな同じで、借金はゼロになります。」「それなら、ここまでにして破産を申し立てませんか?」と説得され、ようやく落ち着くことができました。https://債務整理新潟.com/

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小澤 和彦 弁護士からのコメント

破産の申し立て時には、一応、申立代理人が、このケースは破産管財人がつく破産管財手続きか、それもとも破産管財人をつける必要がない同時廃止手続きかを選ぶチェック欄があります。それなら、申立代理人が同時廃止と選べば破産管財手続きにならないで済むのではないか?と思われるかもしれませんが、そういうものではありません。さすがに、浪費・ギャンブル、未回収の貸付金があるという状況で、破産管財人は不要です、と言っても、通常であれば、裁判所が、「いや、このケースでは破産管財人をいれて調査させる必要がある」と破産管財手続きに回すことが明らかです。もちろん、ギリギリのケースもあります。例えば、ギャンブルをやったことはあるけれども、数年前にやめており、しかも金額もそんなに多額でなかった、とか、浪費と言えなくもないけど、その当時は、十分に毎月のお給与から支払いを継続することができるはずだったのに、突然、リーマンショックやコロナショックのようなことがあったために、リストラ・失職したような場合です。その場合には、上申書とというものをつけたり、資料を添付したりして、こういう事情だし、破産管財費用もないので、同時廃止手続きで進めてもらいたい旨の上申(要は、お願い)をすることにより、破産管財手続きに回されないで済むこともあります。ですが、これはかなりレアです。上申(お願い)しさえすれば、なんでも同時廃止手続きにできるというものではありません。また、貸付金の未回収金についても、相手が行方不明であるとか、相手自身が自己破産している、生活保護を受けている等の状況ですと、回収することはほぼ不可能ですので、その旨を上申することにより、「たとえ破産管財人をつけたとしても、もはや回収できる可能性はありません。」「したがって、破産管財手続きでなく同時廃止手続きでお願いします。」という願いが受け入れられる可能性があります。本ケースでは、一応、元カレと電話連絡はつく状態なので破産管財人も多少、調査はしたようです。しかし、結論としては、破産管財人は、申立人の女性に同情は示してくれましたが、元カレを訴えるとかはしないままで終わりました。他方で、昔のパチスロやブランドショッピングについては、「もうやっていないですよね?」と確認されたぐらいで、ほとんど触れられませんでした。もちろん、反省文をしっかり買いて提出済みなので、聞いても同じことを言うだろうと思ったのかもしれません。そして、なんとか破産の免責が認められることになりました。結局、破産管財人も回収できず、破産管財人はその貸金請求権を放棄しました。放棄したとは、要するに、「あとは、自分で好きにしてください」ということです。そこで、「もし、元カレの追及をするつもりなら、元カレへの債権が消えてはいないので、反省を迫る意味合いであれば、やってもいいかもしれませんがどうしますか?」と聞きました。しかし、実は、その時点で新たに交際を始めたそうで、とれもしないお金のために、元カレがどうのと騒ぐのも、その交際相手に悪いので、もういいです、って言うことでいした。ちなみに、その交際相手とは最終的に結婚することになり、今は専業主婦です。そういうこともあって、逆に考えれば、結婚前にすべてのゴタゴタを整理できて本当によかったとのことでした。https://債務整理新潟.com/