この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
相談者は、債務総額が1200万円あり、個人事業主として手取り月収が30万円という状況で、法律事務所の弁護士から、取り得る債務整理手続きは自己破産しかない言われた方でした。相談者としては、自己破産手続きを採った場合、自宅を失うことになり、また、事業に必要な重機を換価されるため、事業の継続が困難となるため、自己破産手続きを採ることは到底無理な状況でした。
解決への流れ
1200万円の債務総額の場合、任意整理手続きを採ることは難しく、基本的には、個人再生手続き又は自己破産手続きを検討することとなります。この点、自宅等の不動産がある場合には、自己破産手続きを採ってしまうと自宅を失うことになるので、安易に自己破産手続きを採ることはお勧めできません。他方で、個人事業主の場合、売掛や買掛、重機備品等があるため、一般的には、個人事業主の個人再生手続きは難しいと言われています。もっとも、難しいといっても、法的には個人事業主の方も個人再生手続きを採ることは可能ですので、実態に即して、個人再生手続きが可能か否かを判断する必要があります。相談者の場合、所有している自宅の評価額や重機備品の価格、買掛・売掛等を相談時に検討した結果、個人再生手続きを採っても事業を継続することは可能であり、また、個人再生手続きを採ることのメリット(個人再生手続きにより減額された債務額であれば、十分返済が可能であること)も期待できたので、個人再生手続きを裁判所へ申し立てることとなりました。
相談者は、個人再生手続きを申し立て、結果として、個人再生手続きは成功し、相談者は事業を継続したうえで、無理のない債務返済を行うことができるようになりました。本件は、個人事業主の個人再生手続きが成功した事例ではあり、一概にどの個人事業主の方でも個人再生手続きが適しているとはいえませんが、少なくとも、事業内容等から実態に即した相談を行い、いずれの債務整理手続きが適しているかの判断は必要だといえます。