犯罪・刑事事件の解決事例
#遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)

遺留分制度の利用により数百万円の金銭を回収した事例

Lawyer Image
大澤 潤也 弁護士が解決
所属事務所佐野総合法律事務所 船橋駅前オフィス
所在地千葉県 船橋市

この事例の依頼主

女性

相談前の状況

病気を患っていた母が他界し、私と弟が相続人になりました。私は結婚を機に実家を出てしまいましたが、弟は母と一緒に実家で暮らしていました。通夜や葬儀がひと段落して、ふと遺産のことが気にかかりました。何年も前に亡くなった父が遺してくれた財産は、母が引き継いでいるはずで、今どういった状況なのか私には全くわからなかったからです。弟に尋ねると、母の遺言書を見せられました。そこには、「全ての遺産を弟に相続させる」というようなことが書いてありました。私としては、「父の遺した財産もそれほどではないだろう」という気持ちもあり、また、生前の母の世話をしてくれていた弟のことも考えると、「それでもいいか」という気持ちもありました。ただ、なんとも言えないモヤモヤした気持ちもあり、私自身もそれなりの年齢で将来への不安もあったため、友人に勧められて弁護士に相談することにしました。

解決への流れ

まずは遺言書を見てもらい、生前の母と私の関係性、遺言書を作成した頃から他界までの母の様子など、いろいろなお話をしました。ヒントをもらいながら、私がどうしたいのかをじっくりと考え、結論として遺言書そのものは有効だという前提で話を進めることになりました。ただ、遺言が有効だったとしても、私には「遺留分」というものがあることを知りました。この「遺留分」の制度を利用することで、私の場合で言えば、遺産の4分の1相当分だけは弟に請求することができるとのことでした。弟ともめるつもりはなかったのですが、私自身がそれなりの年齢で、いつどうなるかわからないという中で、少しでも将来に備えられたらという気持ちで、遺留分を請求することを決意し依頼しました。弟に遺産の状況を開示するよう請求し、その回答を踏まえて正式に請求を行い、結果として、数百万円の金銭の支払いを受けることができ、安心して生活できるようになりました。

Lawyer Image
大澤 潤也 弁護士からのコメント

遺言によって全財産を特定の相続人に取得されてしまうケースは、それなりに見受けられます。もちろん、それぞれの家族で事情は異なっておりますし、法的に見てもそれ自体は何ら問題のないことです。ただ、他の相続人からすれば、目当てにしていた遺産が全く入ってこなくなり人生計画が狂ってしまったり、感情的に納得できなかったりといった事態が生じます。こうような場合には、そもそも遺言の有効性から問題になるケースもございますが、これについては遺言の体裁、生前の状況、証拠の有無などから、遺言そのものの有効性を争う余地があるかどうか慎重に考える必要があります。一方で、今回のケースのように、遺言の内容そのものにはある程度納得できるものの、ただ何となくモヤモヤを抱えていたり、遺産が全く入らないことによる不安を抱いたりといった方もいらっしゃいます。遺留分というのはごく簡潔に言えば、遺産の最低保証額です。そういった方々のモヤモヤや不安を取り除く方法として利用することが可能ですし、もっと単純に「特定の相続人が全部を取ることは許せない」「自分にも少しくらい遺してくれてもいいはずだ」という人間として素直な気持ちを実現する方法でもあります。ただし、遺留分の制度は最短1年で時効にかかります。そのため、悩んだら可能な限り早めに弁護士に相談し、「自分はどうしたいのか」方針を固めることが非常に重要な意味を持ちます。本件のご依頼者様も非常に悩まれた様子でしたが、勇気をもって一歩を踏み出すことで、結果として将来の安心を手にすることができたものと思われます。