この事例の依頼主
30代 女性
相談前の状況
依頼者は、30代の女性で、結婚してまだ約1年ほどでしたが、性格の不一致などが原因でご主人と別居され、別居後半年くらい経ったころにご相談を受けて受任致しました。依頼者は、別居前に当面の生活費として、ご主人名義の預金口座から何回かに分けて合計300万円を下ろし、ある程度の準備をされてから別居されていました。
解決への流れ
受任後、すぐに別居中(離婚成立まで)の生活費を請求する「婚姻費用分担調停」を申し立てました。そうしたところ、相手方(ご主人)が、早期解決を望まれたこともあり、受任から約半年後に離婚の合意をして、調停は取下げにより終了しました。依頼者は、別居前にご主人の預金から下ろした300万円をそのまま財産分与として取得したほか、婚姻費用名目で75万円、合計375万円を取得して離婚に成功しました。
婚姻費用は、別居後、離婚成立までの間、通常収入の少ない側から相手に請求できる生活費ですが、法律上、別居時に直ちに発生するものではなく、調停等の手続きで明確な請求行為をしたときに発生するものと捉えられています。したがって、基本的に後から遡って請求できる性質のものでないため、別居されている妻という立場の依頼者などの場合、まずは婚姻費用分担調停を申し立てるという方法は一つのセオリーと言ってもよいかと思います。申し立てた婚姻費用分担調停の中で(調停の主たるテーマは、あくまで婚姻費用なのですが)、あるいはその調停と並行して、離婚に向けた合意ができあがることも珍しくはなく、この事案もその一例としてご紹介します。なお、1年と短い婚姻期間を考えると、この事件はかなり大きな額の財産分与を得ることに成功した事案といえます。