この事例の依頼主
50代
その女性は、結婚以来旦那さんとの不仲に悩まされてきました。聞けば、浮気を繰り返され続けてきて「家を出たい」と考えているとのことでした。3人のお子さんは既に全員成人して、家族に対する気兼ねがなくなったとのことでした。家出のタイミングについて相談を受けた私は、家出後の生活が少しでも経済的に安定するよう、同居中に夫の財産状況の把握と浮気の証拠を押さえておくと有利になるとアドバイスしました。
その後、女性は、旦那さんの部屋から、旦那さんが近日中に出張を装って職場の部下である女性と北海道旅行に行くことを裏付ける資料を入手してきました。女性と再度相談した結果、奥さんの家出決行予定日を旦那さんの旅行の最終日として、その日奥さんは羽田空港で丹那さんと相手の女性が北海道旅行から帰ってくる便を待ち構えることにしました。同日、何も知らない旦那さんと浮気相手が到着ロビーから出てきたところで、女性は夫を問い詰めました。夫は予想もしなかった奥さんの出現にシドロモドロ。動揺した浮気相手の部下からも名前と身分を確認し、女性はその足で実家に帰りました。正式に女性の依頼を受けた私は、後日、浮気相手の部下を私の事務所まで呼び出して浮気の慰謝料を請求しました。 すると、浮気相手の部下は「不貞行為はなかった」と弁解し始めました。自分はセックス恐怖症で、性行為ができない体であるというのです。15分ほど部下は饒舌に弁解を続けました。いわく「前の夫が異常性癖で、精神的に追い詰められて、そういう体になった」等々・・・。ひとしきり女性に弁解をさせた後、私は、おもむろに女性が旦那さんの持ち物から探し出していた何枚かの写真を彼女に示しました。すると、饒舌だった部下の顔からスーッと血の気が引いていくのがハッキリ分かりました。私が示した写真は、旦那さんとその部下がキスをしているシーンや二人でドライブしているシーンを記念撮影していたものでした。依頼者の女性は、これらの写真を旦那さんのカバンで見つけ、こっそりと抜き取っていたものでした。浮気相手の部下は表情を硬くして押し黙ってしまいました。10秒ほどの沈黙の後、浮気相手の部下は、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で「すみませんでした」と頭を下げました。部下は、性関係はなかったことにしようと旦那さんと口裏を合わせてから私の事務所に来た様子でしたが、完全に観念して慰謝料を払うという約束に応じてもらうことができました。
配偶者が浮気をしているかどうか-離婚劇の渦中でしばしば争点となる論点です。浮気を隠して見え透いたウソを突き通そうという人は決して少なくありません。しかし写真やメールなど浮気を決定づける証拠があるときは、そのような言い逃れが通用することはありません。この事件では、一緒に北海道旅行に行った部下の女性以外の、旦那さんの2人の浮気相手の存在も突き止めることができ、全体で500万円近い慰謝料を得ることができました。